「MTMDF」は東京大学大学院教授の池上高志氏や写真家の新津保健秀氏らとともに、ＨＡＫＵＨＯＤＯ　ＤＥＳＩＧＮの永井一史が博報堂アイ・スタジオと共同で、デザイン・制作しているものです。池上氏らが展示したインスタレーションをベースに、時間に関する考察・意識と無意識・人工生命の研究、そしてアートとサイエンスについてを論じています。インスタレーションは、Mind Time Machine（通称MTM）と呼ばれ、山口のメディア芸術センター(YCAM)で2010年に作られたものです。

MTMは、15個のビデオと3つのスクリーンからなり、全体で1辺が6メートルの立方体として構成されています。そして、3ヶ月に渡り、YCAMに置かれ、そこに来る人々を写し込み、記憶し動いていました。MTMの特徴は、通常のアート作品とは異なり、サイエンス、特に複雑系の科学の概念や手法、最近の脳科学の知見などをベースとしていることです。それは、アートとサイエンスの関わり方を真っ向からとらえ、今後の、アートとサイエンスの方向を予言するものになっています。


１　複雑系の要素が満載の、先端アートMTM
Mind Time Machineは、東京大学大学院教授池上高志を中心に完成された先端アート作品として山口のメディア芸術センター（YCAM）で発表されています。

「意識・無意識・記憶の3つのプロセスのネットワーク」を実際にモニターとカメラを使用し、「脳の主観的な時間のダイナクミクスによる映像表現」を展開したものです。
Mind Time Machineにおける考察は、まさにさまざまなイシューが複雑に絡み合う現代社会の未来を予測できる可能性を持った作品といえ、サイエンス界・アート界の両方から注目されています。

2　「MTM」は「人工生命」の将来的な可能性を切り開く!?
MTMは、人という最も複雑なシステムもしくはネットワークをアート的に構築したものです。MTMと人との相互作用の過程においては、さまざまな事象が確認され、蓄積されていき、結果としてそれがダイナミクスの複雑さを保ち続ける「燃料」として動いていくシステムであり、これまでの人工生命とは裏側の生命感についても「MTM」から観察することができます。

3　「MTM e-book」を作り上げる、各界を代表する著名クリエイター
今回の、電子書籍を発行するにあたり、各界を代表する著名クリエイターが集結。MTMの世界を、映像・デザイン・サウンドというさまざまな側面で表現をしています。

新津保 建秀　フォトグラファー
evala　サウンド・アーティスト
永井　一史　クリエイティブディレクター　HAKUHODO DESIGN代表取締役社長